現場を読む

■ 第18回(2009.03.05):『毎回の研修で、ホームランを打て』

ビジネスコーチの細川馨です。

先日、とある人事担当者(女性)にお会いしました。

企業名は出せませんが、この会社は誰もが知っている超優良企業です。 私もこの会社の商品を愛用している一人です。

1人のビジネスコーチとして、どうしてこの会社が成長をし続けているのか、 その源泉を知ることができる絶好のチャンスでした。

彼女といろいろな話をするなかで、私はストレートに聞いてみました。

「御社が成長し続けている、その源泉は何でしょうか?」

しばらく考えた後、彼女は次の2つを答えました。
「よくある言葉ですが、皆が経営者マインドを持っているからじゃないでしょうか」
「もう1つは、愚直にやり遂げる力ですね」

“経営者マインド”と“愚直にやり遂げる力”がこの会社の成長の源泉だとおっしゃったのです。

そのそれぞれについて、彼女は次のような情報を付け加えました。

「うちの社員は、20代半ばで責任者になると、月商数千万円という目標が降りてきます。 当然、彼らにとってはすごい大きなプレッシャーです。

そんな中で目標を達成するためには、 一緒に働くアルバイトの方の協力が不可欠です。

幸い、責任者もアルバイトも、年齢が近いこともあり、 コミュニケーションギャップがなく、 うまくアルバイトを巻き込んで目標達成していくんです。 彼らは自然と、目標達成をしながらマネジメントスキルも高めているんです」

例えば私の所属する研修部でも、上司には『毎回の研修で、ホームランを打て』と 言われるんです。毎回ですよ。一般的に研修は成果が出るまでに 時間がかかると言われていますし、上司もそれは分かっているんですが、 『すぐに結果の出る研修』をやることを求められているんです。

だからみんなで現場の調査やヒアリングをして、 現場の課題が何なのかを徹底的に議論し、 明らかにしてから研修をするようにしているんです。

それから、『愚直にやり遂げる』ということで言うと、 決まったことは有無を言わさずやらないといけません。

どんな言い訳も通用しないんです。私も研修担当者という立場でよく分かりますが、 『愚直にやり遂げる』ということの難しさ。

でもうちの会社では、愚直にやり遂げることが 当たり前になっているのかもしれません。」


どの企業にも適用できる、業績を上げるための特効薬は残念ながらありません。

ただ、この女性の会社での話から分かるのは、 決めたことを愚直にやり続ける力の有無が、業績向上の必要条件である、 ということが言えるのではないでしょうか。



■ ビジネスコーチの目

◆腹に落とし込まれた誇り

先ほどの人事担当者との話の続きです。

彼女と話していると、その言葉の端々に 会社の“ミッション”を感じ取りました。

それは彼女自身の“ミッション”ではなく、 会社の“ミッション”だったのです。

それも上っ面の言葉ではなく、心の底から出てくるパワー、 俗に言う“熱いもの”が彼女の中に根付いていたように感じたのです。

その力強さに感動し、思わず彼女に伝えました。

「素晴らしいですね、 おそらく御社の社員は皆さん同じ思いをお持ちなんでしょうね」

私のコメントに対し、彼女は次のように答えました。

「そうかもしれません。それが良いのか悪いのか分かりません。  でもそれ信じて、みんな毎日頑張っています」

彼女が話した、“それが良いのか悪いのか分かりません”という 言葉自体は、決してポジティブなものではないですが、 その言葉にも迷いがなく、真っすぐで、力強さがあったのです。

あと、こんなこともおっしゃっていました。

「私は4年前に転職してきたのですが、 それまではうちの会社の商品を買ったことがなかったんです。 そして転職してから、会社のあらゆる部署を見てきました。

すると皆、朝から晩まで白熱した議論をしているんです。 それもあらゆる部署で。

商品企画からデザイン、お客様のためにその細部まで徹底的にこだわった 商品作りを見たんです。

手前味噌ないい方ですが、最高の商品を作っていることが 分かってから、私もうちの会社の商品を買うようになりました。」


この会社はグループ全体で数千人の従業員がいます。 その全員が、この女性のような「誇り」を持ちながら 仕事をしているのです。

その組織力、とてつもなく高いことは容易に想像できますよね。

では、皆さんに質問です。

「手前味噌」でも自社は最高だ、 あるいは誇りを持っていると言うことができますか。

“最高のモノ”は、何も商品だけに限ったことではありません。

「自社の職場環境は最高だ」「自社の営業力は最高だ」 「社員のチームワークは最高だ」 それは何でも構いません。


ポイントは、“腹の底から”“自分に嘘偽りなく” その言葉を言えるかどうかです。


「最高だ」ということに、あなたの中でもし引っ掛かる部分があるのならば、 何かを改善する余地があるはずです。

そのために、あなた自身がまずできることは何でしょうか。