現場を読む

■ 第16回(2009.02.05):「これからも成功する」を疑った知人

ビジネスコーチの細川馨です。

私が元々、生命保険会社の出身ということもあり、 お客様に生命保険会社、あるいは生命保険会社のセールスマンの方々が 多くいらっしゃいます。

つい先日、私が尊敬してやまない 外資系生命保険会社の方(Aさん)と 情報交換をする機会がありました。

Aさんの人間性やビジネスマンとしての素晴らしさを お伝えすると限りがありませんので、端的に紹介すると、 (マーシャル・ゴールドスミス氏の言葉で言う) 優れたアチーバーであり、優れたリーダーでもある方です。

Aさんは、若くして支社長という立場でマネジメントを経験されました。 支社長となって数年間、支社の業績は順調に伸び、 全国でも常にトップクラスの実績を残してきたのですが、 ある時期を境に、業績の伸びが鈍くなってきました。

その原因は、セールスマンの採用がうまくいっていないことでした。

生命保険会社において、質の高いセールスマンを 採用することが業績を伸ばす鍵であり、 質の高いセールスマンが採用できるかどうかは 支社長の手腕にかかっているのです。

業績が順調に伸びているときは、 セールスマン採用についても順調だったのですが、 ある時期を境にその採用方法が全く通用しなくなってしまったのです。

Aさんに、当時の様子を聞くと、
「それまでやってきた、質の高い人を口説く方法はきちんとできていた」
「私だけでなく、他の人も一生懸命採用活動をしていたが、結果が出なかった」
「皆、声には出さないが、私(Aさん)に不満を抱いていたと思う」
などとおっしゃっていました。

傍から見ると、「じゃあその採用方法を変えればいいのに」 と思うかもしれません。 確かに、その通りなのです。

では、Aさんの立場で考えてみましょう。

「これまで優秀なセールスマンを採用でき、彼らもすごく成長して、 支社に多大な貢献をして頂いている。 人間的にも尊敬できる人たちばかりだ。」

Aさんのこれまでのセールスマン採用において、 それが成功であったか失敗であったか、 という思考で考えた場合、Aさんは「成功してきた」のです。 Aさんもきっと、そのように思っていたでしょう。

「成功してきた」人は少なからず、「今後も成功する」という 不確かな確信を持っているのです。 違う見方をすると、「今後も成功する」という 不確かな確信があるからこそ、成功する可能性が高まるのです。

しかしながら、そのような確信が「成功」を邪魔するときがあります。

今回のAさんが、そのケースです。 成功が確約されていないにも関わらず、 「今後も成功する」という不確かな確信に 固執し続けると、いい成果は生み出されません。

Aさんがこの“不確かな確信”に気づき、事実を直視し、 採用活動の見直しを行った結果、 セールスマンの採用数が飛躍的に伸びました。

おこがましい言い方ですが、 今後、Aさんは益々成長される方なのだと思います。

さて、皆さんはどのような「不確かな確信」を持っているのでしょうか。 それをどのようにすれば解放できるでしょうか。

この機会に、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか?



■ ビジネスコーチの目

◆今のリーダーに必要な視点

~私(プライベート)から公(パブリック)へ~

「リーダーは公(パブリック)な視点を持つことが必要である」というのが 今回の「ビジネスコーチの目」のテーマです。

国の豊かさ、個人の豊かさのために、 必死に働いてきた、偉人の方々のおかげで、 今日の日本、世界があります。

それはまぎれもない事実です。

しかしその必死さが故に、見ていなかった側面もあります

例えば、エコの観点。

有限であるにもかかわらず、あたかも無限にあるかのように 鉱物採掘、森林伐採などを続けてきた結果、 世界規模で砂漠化が広がっています。

このように、目先の「豊かさ」を求めた結果、 今となって多くのツケが残っています。

チームの成長についても、実は同じことが言えます。

極論すると、「作れば売れる」という時代であったときは、 リーダーが“自分の為に”と思って頑張れば ある程度の成功はできたのです。

しかし、今は「作っても売れない」時代です。 お客さんのニーズは、めまぐるしく変化しています。 実は若いビジネスマンのほうが、その変化を感じることに に敏感だったりします。

そのような時代で、「自分の為に」「自分が頑張れば何とかなる」 「若い連中の話は参考にならない」と高をくくっているリーダーに 誰がついていくのでしょうか。

今の時代だからこそ、 「私=自分」ではなく、「公=周囲」に目を向けて 物事を考える必要があるのではないでしょうか。

・お客さんが本当に求めていることは何か?
・メンバーの成功を助けるために、何が出来るのか?

この質問に即答できれば、 あなたが素晴らしいリーダーであること、間違いありません。