現場を読む

■ 第14回(2008.12.18):昇進に必要だった強みが弱みに変わるとき

ビジネスコーチの細川馨です。

2008年も残すところ2週間ほどとなりました。

明るい未来の兆しがある『2009年』を迎えたいところですが、 アメリカ発の金融恐慌により、日本も大きな影響を受けています。

ソニーが従業員(契約・派遣社員含む)16,000人のリストラを断行、 日本の自動車メーカーが工場稼動日数を減少させるなど、 日本経済、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。

年末のご挨拶を兼ねて訪問したクライアント企業様のほとんどが 何らかの形で金融恐慌の影響を受けており、驚きを隠せません。

「今の延長線では明るい未来がない」ということを 見せつけられているようにすら感じます。

このような経済環境だからこそ、リーダー(管理職)に求められるものを 再考する良いきっかけになります。

マーシャル・ゴールドスミス氏の著書のタイトルは 「What Got You Here Won't Get You There」 (今までのやり方では、これから先はうまくいかない)。

この本では、成功しているリーダーに対し、 スタッフとして成果を出してきた強みが、 昇進し人を率いる立場になると 弱みに変わるということを説いています。

つまり、人を率いる立場にある人(リーダー)は “何か”を変化させる必要があるのです。

“何か”を変化させる方法は、いくつもあります。
・ (やっていたことを)止める
・ (やっていたことの)やり方を変える
・ (やりたいことを)新たに始める
・ (やるべきことを)習慣化する
・ (やっていたことを人に)任せる   など。

何をどのように変化させるのかを考えるためには 自分がこうあるべきと思っている前提条件を変える、 つまり「思考の枠」を外して考えることが必要です。

先日、ある自動車販売会社の研修で、私はこんなフィードバックをしました。

「自動車もその時代のニーズに応じてモデルチェンジしますよね。  リーダー自身、そのマネジメントスタイルも  環境に応じてモデルチェンジが必要ではないでしょうか。」

ここで大事なのが、リーダー自身が自分の目指すリーダー像を明確にすることです。

私が尊敬するマーシャル・ゴールドスミス氏が 日経ビジネスアソシエ(2008/12/16号)のインタビューで語った 「リーダーシップの定義」をご紹介して 年末最後のメールマガジンを締めくくりといたします。

──────────────────────────────────
リーダーシップとは、他の人とともに目的達成に向けて進むこと。
「他の人とともに」という言葉が大事です。

実績を残した人は、アチーバー(達成者)です。
自分一人で行い、得た手柄も独り占めする。
一方、リーダーは自分ではなく、メンバーに意識を向ける。
メンバーが正しく行動できるように支援するのがリーダーシップなのです。

つまり、アチーバーとして素晴らしいことと
リーダーとして素晴らしいことは別物です。

私が著書(※)に書いた悪癖の多くは、
優秀なアチーバーだからこそ生じるのです。

※補足
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』(日本経済新聞出版社)
──────────────────────────────────

今年一年、ありがとうございました。 読者の皆さまも、良いお年をお迎えください。

■□ ご案内 □■
マーシャル・ゴールドスミス氏が来日時(10月30日)に開催した エグゼクティブコーチングセミナーの模様(※)を収録したDVDの 予約を受付中です。予約しご購入いただいた方 限定の特典(12月25日まで)があります。

【詳細・お申込は弊社Webサイトにて】
http://mg08.businesscoach.co.jp/dvd.html



■ ビジネスコーチの目

マーシャル・ゴールドスミスは実践者

先日、マーシャル・ゴールドスミス氏から、Thanksメールが届いたことは 気まぐれコーチング日記で紹介しました。
http://www.businesscoach.co.jp/diary/backnumber/20081212.html

その内容も素晴らしかったのですが、彼が単なる“論評者”ではなく、 “実践者”であることを改めて感じたのが、このメールでした。

マーシャルが唱えている、 「リーダーとして自己変革するために必要な8つの行動」という中に、 「thank(感謝する)」「involve(関わり合う)」という2つがあります。

彼は「メール」という媒体を通して、私たちに感謝の意を伝え、 彼自ら関わり合ってきたのです。

ご存知の通り、マーシャルはタイトなスケジュールで世界中を飛び回り、 講演活動を行っています。

私たちには想像できないほど、彼は多くの人と出会っていることでしょう。
分刻みの予定が入っている中で、その「知人」に対し、 Thanksメールを送っていると考えると、 果たしてどれだけの数になり、どれだけの時間がかかったのでしょう。

やろうと思っても、なかなか実践できることではありません。

マーシャルには敬服するばかりです。