現場を読む

■ 第7回(2008.09.04):忙しすぎる方へ!業績を出している会社が「やらないこと」は?

 ビジネスコーチの橋場 剛です。

 突然ですが、クイズです。

 読者のみなさんは以下の時間数を見て  何の時間だと思われますか?

 1.6万3,360時間
 2.4万2,240時間
 3.2万1,120時間

 正解は、ある年齢の仕事に打ち込める残り時間です。

 上記1は今、ちょうど30歳の方。
 上記2は今、ちょうど40歳の方。
 上記3は今、ちょうど50歳の方。

 ※前提=60歳で定年退職、月平均22日・年間264日間、   1日8時間勤務する場合。


 これらの時間を短いと思われますか?それとも長いと思われますか?

 優秀なビジネスパーソンや業績を上げている会社は  「時間が限られている」ことを「頭で理解している」だけでなく  「心で実感している」ため、無駄なことには決して時間を投資しません。  一方で、新しい活動や学習にはどんどん積極的な投資をしていきます。

 けれども1人の人間や1つの会社という「容器」に入る水の容量は  限られていますから、成果を出すヒト・成果を出す組織は  「どんどん捨てて、どんどん取り入れる」  を意識的に実践しています。  「何を拾うか」ではなく、「何を捨てるか」の発想です。

 これまで多くの会社・組織のパフォーマンス向上に  携わってきましたが、業績を出している会社が  「組織としてやらないこと」があります。

 例えば、
 □3W(Who・When・What)を決めない会議をしない
 □ゴールが曖昧な会議をしない
 □日中に資料作成や事務作業をしない(営業部門の方の場合)
 などです。

 もちろん他にもいろいろあるのですが、  私のささやかな経験からすれば、  上記の3つは、優れた会社がほぼ例外なく実践しています。

 「やめる」ことと「しない」ことは一見似ていますが、異なります。
 「やめる」というのは1→0(1からゼロへ)へと変える(減らす)こと。
 「しない」というのは0→0(ゼロからゼロへ)を維持すること。

 健康維持のために  「禁煙する」は「やめること」、  「喫煙しない」は「しないこと」です。

 「やめること」はものすごく忍耐とエネルギーと勇気が要りますが、  「しないこと」は一度決めてしまえば、比較的簡単に継続することが可能です。  はじめから「しない」と決めているので、「やめる」という余計な  エネルギーを消耗しません。

 いま上り調子の企業の1つに、建設機械メーカーにコマツ(小松製作所)があります。  2008年3月期の決算は6期連続増収増益というすばらしい実績を  上げられている会社です。

 コマツの坂根会長が情報共有化を非常に重要視されていますが  この「やめる」「しない」に関しても意図的に行っていることがあります。

 それはコマツ社の「ダントツ商品」という考え方です。  これはコマツ社が社内で認定した優良製品のことで、他社が3年から5年は  追いつけない断然トップの先進性を持ち、顧客から高く評価された製品に  与えられる名称です。

 他社の同様製品と圧倒的に差別化された製品にするために、  ダントツの商品となるために、  何かの機能を「あきらめて」います。

 そして何かの機能を「捨てて」いるというわけです。

 まさしく「何を拾うか」ではなく「何を捨てるか」の発想に基づいています。  いわゆる「いいとこ取り」をして「足して割る」の発想では  本当の意味での「ダントツ」は決して生まれないのだと思います。

 どの仕事を捨てるのか?(もしくはやらないのか?)  どの情報を捨てるのか?(もしく使わないのか?)  どの課題を捨てるのか?(もしくは取り上げないのか?)  どの施策を捨てるのか?(もしくはやらないのか?)

 「善く戦う者は怒らず」とは老子の言葉です。  「戦争に巧みな人は、怒りにかられて、無謀なことはしない」という意味です。

 ビジネスに置き換えれば、「感情的になった時点で勝負あった」  ということでしょう。

 情報が氾濫する時代には、「しない組織」「捨てる組織」が、  短い投資で多くの成果・リターンを手にできるのではないかと思います。



■ ビジネスコーチの目

◆「やめること」の大切さ

エグゼクティブコーチの第一人者であり、 またピーター・F・ドラッカー財団の役員を10年間務めた経歴を持つ マーシャル・ゴールドスミス氏は 著書「コーチングの神様が教えるできる人の法則」(日本経済新聞出版社) の中で、「やめることの大切さ」について次のように書いています。

「ピーター・ドラッカーはたくさんのすばらしい話をしてくれたが、 とりわけ叡智にたけたコメントだと思ったのは 『私たちはリーダーに何をすべきかを教えるのに多大な時間を使うが、 何をやめるべきかを教えるのには十分な時間をかけていない。私が 今まで出会ったリーダーの半数は、何をすべきか学ぶ必要はない。 彼らが学ぶ必要があるのは何をやめるべきかだ』という言葉だ」

マーシャル・ゴールドスミス氏は、リーダーシップ開発の中では 一貫して「やめることの大切さ」に触れています。

組織の生み出す成果というのは単純化すれば、 「個人の能力・行動 × 組織としての能力・行動 × 継続性」です。

「個人の能力・行動」と「組織の能力・行動」がマイナスであれば、 いくら継続性があったとしてもトータルでは マイナスになってしまうというわけです。

マイナスになる行動というのは、 繰り返せば繰り返すほど赤字を生み出す行動とか 繰り返せば繰り返すほど周囲のメンバーに悪影響を及ぼす行動のことです。

急に「2つも3つの悪いクセをなおしなさい!」 などと言われても、「どうせ無理に決まっている!」と 尻ごみしてしまう方も多いかもしれませんが、 「1つだけ悪いクセ・悪い習慣をなおしなさい」と言われれば、 案外意識して改善できるものです。

メルマガ読者のみなさんも 「1つだけ【しないこと】を決める」を 今日からトライしてみる価値があるかもしれません。

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┃【ご案内】10月の東京に、世界一と称されるエグゼクティブコーチが来日
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この度、ビジネスコーチが日本に招聘したのは ウォールストリート・ジャーナル紙から「エグゼクティブ教育のトップ10人」 に選ばれたことのあるマーシャル・ゴールドスミス氏。

同氏はグローバル企業の名経営者80人以上を コーチし、GE、Google、UBS、ゴールドマンサックス、クレディスイス、 モトローラなどでエグゼクティブ開発に従事し、一年のうちの半分以上を、 世界各国で講演をしている、まさに「エグゼクティブコーチングの神様」 なのです。

▼ Google社 社員向けのリーダー開発セミナー映像
http://www.youtube.com/watch?v=3WBeGAAYWg8
※音声が出ます。ご注意ください。

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